リプレイ - 3
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 振り下ろした。
 かわされた。不思議だった。地面にクレーターを作ることになど感慨はなかったが、少しは出来る戦士なのかと頭の隅で考えたような―ああ、考えた。そんなことも鮮明に思い出せる。
 思い出せる、どころではない。目の前に―自分の攻撃をかわしたあの男の姿があるじゃないか。
 混乱。頭の中が紛乱する。何だこれは、何だこれは何だこれは何だこれは――

 かき乱される心のままに、爪を振りかざした。
 剣で受け止められて、ぱきりと爪が折れて、痛みよりも激しい衝撃を受けた。全身に怒気が回って、この男を許せない、そう思って、
 横薙ぎに爪を振るった。

「三撃目」

 そして――どうなった?
 再現された世界がスイービーの思考を惑乱させる。そうだ、ここで俺は男を仕留めた。爪は男の首に食い込んだ。爪にその感触が、
 ……感触が?
 どこに……ある?

「そこで、セレンが杖を振るって」

 高らかな女の声が耳に響いた。魅惑的で、そしてこれ以上なく攻撃的な。
 爆発。何かが爆発した。そして俺の体に再びの衝撃。
 俺はもう何も考えずに、女に向かって爪を振り下ろした。

「四撃目」

 爪は土をえぐった。俺の体は前傾姿勢になった。攻撃の直後はとても無防備になることが――こうして再現されてようやく分かる。
 背中、狙われたのは背中だ。
 視界の端で、男が剣を軽い動作で振り下ろしたのが分かった。
 その後は――

 急に、霧が晴れた。

「さて」  少年はにこりと笑った。「リプレイ。自分がどうなったか、思い出せたか? スイービー」
「俺……は……」
 背中から、
 斬られて、
 まっぷたつ? 誰が? 俺が? そんなバカな、――……
「思い出せ。お前の後ろに今誰がいる?」
 少年の囁き声は、耳をかすめておぞましくスイービーの体を震え上がらせる。
 後ろ、後ろにふたつの気配を感じた。ひとつはとてもとても美味しそうで、ひとつはとてもとても恐ろしい――

 りぷれい。
 再演。
 たった数十秒の出来事。めまぐるしく起こったそれは、到底受け入れられるものではなかったから、
「さあスイービー」
 少年の声は、甘く優しかった。 「もう眠れ。……現実はお前を否定した」
「―――!」
 その瞬間に、愚かな《人型》は消え去った。
 塵も残さずまるで誰もいなかったかのように―……
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