その日の夜は、星がとてもきれいだった。
岩場に腰かけ、天上を見上げながら、らん、らん……と故郷の歌を口ずさんでいた。
「シグリィ様がお休みになられましたよ」
カミルがやってくる。「あなたも休んだ方がいい。少し寝苦しいでしょうが」
「寝ないわよ」
私は言った。穏やかに。
「あの村の人たちを送らなきゃ」
カミルは何も言わずに、傍らに座った。
――最期の最期で、みんな笑ったよ。
今になって、それを見ることができなかったことを残念に思う。
「ねえ……あの村の人たちは、最期、幸せだったのかしら」
返事はない。答えるほど、彼は愚かではない。
ふふっと笑った。
「私はね、今、正直言って幸せじゃないかもしれない」
「そうですか」
慰めも励ましもない。そんなもの必要ない。もう五年も一緒にいると分かってもらえるものなのか。それとも彼と自分の相性なのか。
だから、訊いた。あなたは――
「今、幸せ?」
彼の返事には一拍あった。迷ったのではない、呼吸を入れたようだ。
それは穢れない返事であるはずだから。
「幸せですよ」
誇りに思える主がいて。手がかかるものの信頼できるパートナーがいて。
こんな悲しい夜も――
悲しみを共有できる人々がいて。
「そうね。――そうよね」
天を仰ぐうち、また目尻から熱いものが流れ落ちた。
ぐいっと手の甲でこすったら、ふいに夜空を走った流れ星。
あれは村人の魂だろうか?
もしそうなら、私は問いたい。
「あなたは、今、幸せですか?」
―FIN―
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